「無垢材をヘリンボーン柄に貼るのは大変だ!」と「エネルギーを使い果たした半澤監督」の巻/2025年6月号
西東京市・I様邸、三鷹市・O様邸の工事が順調に進んでいます。今月は、大工や職人さんたちの“力”と“根気”が問われる作業が多く、なかなか濃い一ヶ月となりました。
目次
1.調布市・K様邸(スキップフロアと大きな土間のある家)
2.西東京市・I様邸(鳥さん部屋と円形洗面室のある家)
3.三鷹市・O様邸(家族全員の個室がある注文住宅)
◎調布市・K様邸(スキップフロアと大きな土間のある家)
今年1月に完成したK様邸。室内の写真はすぐに撮影できたのですが、外観写真はあいにくの天気で断念。「また別の日に撮りましょうか。。」となってから、はや半年(時間の経つのは早いですね・・)。ようやく先日、無事に外観写真を撮ることができました!
来月、完成写真をドーンとご紹介する予定です。もう少しだけ、お待ちください!
◎西東京市・I様邸(鳥さん部屋と円形洗面室のある家)
完成に向けて順調に工事が進むI様邸。今回の工事レポートは、
・重量級の木格子を天井に取り付けるのは大変だ!
・窓から緑が見えるステキなお風呂
・カラフルな室内用ジョリパット
の3本立てでお送りします。
まずは、「重量級の木格子を天井に取り付けるのは大変だ!」から。
下の写真は、玄関ホールの天井に取り付ける木格子の仕上げ作業を行う野口大工。玄関横の円形洗面室の壁に干渉しないよう、図面を確認しながら、一部分の格子(赤線の部分)を切り取っているところです。
完成した木格子を、階段の踏み板にぶつけないよう注意しながら、慎重に持ち上げる野口大工と古川さん(写真奥の男性)。古川さんはこのブログにおそらく100回以上は登場している“なんでもできる”職人さんです。
ふたりがかりで木格子を持ち上げて、もうひとりがビスで天井に固定していきます。この木格子は、4.5センチ×9センチの栂(つが)の無垢材を組んだ、天井の装飾にしてはけっこう本格的な木格子で、かなりの重さがあります。下の3枚の写真を見てください。重さと引き換えに、半澤監督(手前の男性)の生命エネルギーが徐々に使い果たされていく様子がわかりますでしょうか。
天井への固定作業が無事に終わり、仕上がり具合をチェックする半澤監督。
壁の塗装工事に備えて養生を施して、取り付け工事完了です。この日、工事を終えて事務所に戻ってきた3人は、「めちゃくちゃ重かった」「大変だった」と口々に繰り返していました。いやいや、本当にお疲れさまでした!
続いて、「窓から緑が見えるステキなお風呂」工事の様子です。
サワラ材の施工が終わりました。手前が浴室。その向こう側がインナーバルコニーになっていて、間に設置する窓を通じて、行き来できるようになっています。
I様邸のお隣には緑豊かな公園があり、浴室の窓やインナーバルコニーから、春の新緑、秋の紅葉など、四季の緑の移り変わりを楽しむことができます。
浴槽が届きました。
設置した浴槽に早速浸かるお風呂好きのオジサン・・・ではなく、この方はタイル職人さんで、浴槽と壁のすき間(灰色の部分)の幅を測って、タイルの割り付けを考えているところです。
割り付けが決まり、タイルの施工を進める職人さん。ちなみにサワラ材を貼るのは浴槽部分の壁だけです。浴室全体にサワラ材を貼ると、サウナ的な圧迫感を感じる可能性があるため、洗い場の白い部分は、FRP防水に、専用の塗装仕上げにしています。
壁側面のタイルを貼り終えました。淡いパステル調の、きらきら輝く、かわいらしいタイルです。
床のタイル貼りも完了しました。高級隠れ家旅館の客室にある露天風呂のような、すてきな浴室ができあがりました。
最後は、「カラフルな室内用ジョリパット」のお話です。
ジョリパットというと、外壁用の塗り壁材というイメージが強いかもしれませんが、実は内装用のラインナップもいろいろと揃っています。当社ではあまり使うことがないのですが(エコフリースや漆喰などが多い)、今回はI様のリクエストにより採用。趣きのある風合いと色合いの、とてもステキな内装に仕上がりつつあります。
下の写真は、主寝室のアクセントウォール。スモーキーピンクのジョリパットで仕上げています(天井の白い部分はエコフリースです)。
近づいて撮ってみた写真がこちら。塗料を引き伸ばすような感じのコテ仕上げにしています。ジョリパットは珪藻土や漆喰と比べて粘度が高いため、独特の“ねっとり”とした質感になります(骨材を入れるとまた違う印象になります)。
主寝室のとなりのインナーバルコニーの壁にも、同じスモーキーピンクのジョリパットを塗っています。ウチとソトがひとつながりになった、視覚的にのびやかで、広がりのある空間になりました。
重量級木格子の話の中に出てきた、円形洗面室の壁もジョリパット仕上げです。紫のような、濃いピンクのような、“ピンクパープル”といった色味のジョリパットを塗っています。こちらの壁は、粗めの骨材を混ぜ、ざらっとした質感に仕上げています。
最後に、おまけの写真を一枚。書斎(仕事部屋)の壁に使った、緑色の有孔ボードです。この有孔ボードは、壁に貼り付けたのではなく、フラットに仕上がるように壁をへこませて嵌め込んでいます。
ちなみにこの有孔ボードは、現場塗装ではなく既製品。最近は黄色や朱色、グレー、水色など、さまざまな色の有孔ボードが市販されています。ちょっとしたアクセントとして使うとおしゃれですね。
◎三鷹市・O様邸(家族全員の個室がある注文住宅)
突然ですが、下の写真は鈴川大工です。O様邸の棟梁です。なんだか楽しそうに現場の清掃をしていたので、ついつい意味もなく撮ってしまいました。小野寺工務店の現場の、明るくて陽気な雰囲気が伝わるといいなと思います。
さて、それではO様邸の工事レポートを始めたいと思います。
下の写真は、5月下旬に行った電気打ち合わせの様子です。ご主人と電気屋さん(街の電器屋さんではなく、電気工事の職人さんのことをこのように呼んでいます)が、テレビ台まわりのコンセントについて話し合っているところです。
電気屋さんが壁裏に収めるコンセントの本体を、積み木のように並べています。コンセントの差込口をすっきりきれいに並べるためには、本体の収め方も重要なポイントなのです。
コンセントの配置が決まったので、忘れないよう、すぐに紙に書いて貼り付けておきます。参考までに、紙に書かれた記号の意味を紹介しておくと、左上から時計回りに、LANポート、通常の2口コンセント、アース付きコンセント、TVのアンテナ端子、というぐあいです。
下の写真も、同じく電気打ち合わせのひとコマです。表札・郵便受け・テレビドアホンなどが一体化した「機能門柱」への電気配線を、建物のどこから引き出すかを相談しているところです。
建物の側面から電気配線を引き出して、地面の中を通して、機能門柱まで配線を持っていくのがオーソドックスなやり方で、O様邸でもその予定だったのですが、電気屋さんから「O様邸は玄関が側面にあるので、玄関横に電気配線が見えるのは見栄えが悪い。距離はちょっと伸びるけれども、建物の後ろの方から配線を引き出して、ぐるっと地中を通した方が、玄関まわりがすっきりするのでは?」という提案があり、それはいいアイデアですね!と計画変更の最終確認をしているところです。
ここからは、冒頭に登場した鈴川大工による、渾身の床工事の様子をレポートしていきます。
O様邸のリビングの床には、無垢のオーク材をヘリンボーン柄に貼っていきます。無垢材にこだわらなければ、あらかじめヘリンボーン柄に加工されたフローリング用パネルを貼っていくだけで済むのですが、“無垢材で”となると、現場で加工しながら貼っていくことになり、なかなか大変です。
下の写真の、掃き出し窓の下の方を見てください。ヘリンボーン柄の“赤ちゃん”ができつつあるのがわかりますでしょうか。ここからヘリンボーン柄を少しずつ育てていきます。
いきなり第一の難所が現れました。床下エアコンのガラリ(吹き出し口)です。ガラリの形状に合わせて、一枚一枚、無垢の板を加工しながらの作業となります。
第一の難所を乗り越えて、床工事を進める鈴川大工。口では「大変だ、大変だ」と言うのですが、実はこういう手間の掛かる細かな造作が大好きなことをスタッフ全員が知っています。ちなみに手前のピンクのテープはガラリの養生です。丁寧な養生に、彼の几帳面な性格が表れています。
作業が進み、第二の難所が現れました。リビング中央の化粧柱です。こちらも細かく加工した床材を、パズルのように組み合わせて貼っていきます。
リビングの床工事が終わりました。普通の縦貼り(横貼り)仕上げだと、1日半ほどで完成するのですが、今回は1週間ほどかかりました。いやいや、本当におつかれさまでした!
(続く)