「お施主様支給品の取り付けに悩む」と「建築用発泡スチロールで作る機能門柱」の巻/2025年8月号
小金井市で新しい家づくりが始まりました!回遊動線が特徴のT様邸です。そのほか、地鎮祭の準備で竹林に行ったり、お施主様支給品の取り付けに頭を悩ましたりの8月でした。猛暑の中、元気に作業してくれる職人さんやスタッフには感謝です。みなさんも、あと少し暑さに負けずにがんばりましょう!
目次
1.西東京市・I様邸(鳥さん部屋と円形洗面室のある家)
2.三鷹市・O様邸(家族全員の個室がある注文住宅)
3.小金井市・T様邸(回遊動線の注文住宅)
4.調布市・深大寺そば八起(続・店舗リフォーム)
◎西東京市・I様邸(鳥さん部屋と円形洗面室のある家)
小野寺工務店では、お施主様がご自身で用意された備品(支給品)の取り付けにも、できるだけ対応しています。海外製の照明やスイッチなどで日本の電気規格に合わないものは難しい場合もありますが、「これを使いたい!」というお気持ちには、できるかぎり応えたいと思っています。
ある日、I様から「壁に時計を付けてほしい」という依頼があり、「大丈夫です!」と快諾したのですが、手渡された時計を見て思わずひるんでしまいました。時刻を表す目盛りがバラバラになっていて、全部で15のパーツを壁に正確に取り付けないといけない時計だったのです。
「これはなかなか大変そうだな、誰にお願いしようか…」と考えていたところ、そばにいた大工がすぐに取り付けを始めてくれました。
下の写真は、付属の型紙を壁に貼り付けたところです。この型紙を使って、取り付け位置の目安となる線を、壁にうすく書き込んでいきます。

書き入れた線にそって各パーツを順に取り付けていきます。時計の長針、短針と、目盛りの角度がぴったり合うよう、慎重に。

取り付け完了!きれいに仕上がりました。手際よく作業してくれた大工に感謝です。

支給品の話をもうひとつ。下の写真は、真鍮製のトイレットペーパーホルダーです。メイン用と予備用の2本を横並びに取り付けます。

ところが、このホルダーは2本セットの商品ではなく、それぞれ別々に購入されたものでした。そのため、そのまま取り付けるとトイレットペーパーの高さがそろわないのです。

高さを合わせるには、棚板と片方のホルダーの間に部材を挟む必要があります(こういう部材のことを大工言葉で「ぶつけもの」といいます)。
で、下の写真です。この写真はI様に「このように部材を挟んで取り付けて良いでしょうか」と確認のためにお送りした写真です。

I様との協議の結果、最終的に下のように取り付けることになりました。たかがペーパーホルダー、されどペーパーホルダー。I様にもご納得いただける仕上がりとなり、メデタシメデタシです。

I様邸からは、外構工事のエピソードも紹介したいと思います。
下の写真の、一反木綿のようにそびえたつ白い壁は、防蟻処理されたEPSボード(建築用の硬い発泡スチロール)です。EPSボードを使って何をするかというと、テレビドアホンや郵便受けの付いた機能門柱を作ります。
機能門柱は、ブロックを積み上げて作ることも多いのですが、2メートル以上の高さにする場合は、控え壁(ブロック塀を直角に支える短い壁)を付けたり、厚みを15センチ以上にしたりする必要があり、スッキリしたデザインにするのが難しいのです。そこで最近は、EPSボードなど、建築用の発泡スチロールを使って作ることが増えてきています。

EPSボードの四隅と真ん中あたりに補強用のステンレス支柱を入れます。照明やテレビドアホンのコードもすでに配線済みです。

EPSボードの上からモルタルを丁寧に塗っていきます。

モルタルの上から外壁用の仕上げ材を塗り、機能門柱が無事にできあがりました。この薄くてスッキリしたデザインが、ブロックでは実現できないのです。

機能門柱の手前の階段には、間接照明を埋め込みます。そのためステップの下に間接照明用のスペースを確保しています。

階段の仕上げ作業が始まりました。角に「埋め込み定木」を取り付け、その上からモルタルを塗っていきます。埋め込み定木は、きれいな直角を出すのと、完成した階段の角部分を保護するために取り付けています。

仕上げのモルタルを塗る左官職人さん。できあがりが楽しみです。

[家づくりのマメ知識]
I様邸では、ちょっとユニークなエアコンを取り付けました。その名も「ココタス」。洗面室や書斎など、これまでエアコンをつけにくかった小さな空間向けに作られたタイプで、天井に埋め込むように設置します(先行配管が必要です)。
下の写真は洗面室の天井。すっきり収まって、スペースをとらないのがいいところです。

こちらは書斎。1帖ちょっとの広さに普通のエアコンをつけるのは大げさに感じますが、こういう小空間にはココタスがぴったりな気がします。

◎三鷹市・O様邸(家族全員の個室がある注文住宅)
付加断熱(外断熱)工事が始まりました。断熱材のEPSボードを、気密施工した壁の上に貼り付けていきます。

家全体をすっぽりとEPSボードで包み込んだら、付加断熱工事は完了です。外側はEPSボードの付加断熱、家の中はセルロースファイバーの充填断熱。二重の断熱でO様邸も快適な家になること間違いなしです!

家の中では大工工事がどんどん進んでいます。下の写真は2階吹き抜けの手すり。シンプルですっきりとしたデザインに仕上げています。

O様邸は、ご家族全員に個室があるという、ちょっとうらやましい間取りです。ただ、ご夫婦の部屋だけは、壁の上の部分をあえて塞がず、声や気配が伝わるようにしています。今は問題なくても、何十年か先にお二人とも年を重ねた時には、その方が安心ですものね。
下の写真は、その“上部を開けた壁”を施工しているところ。矢印の板は壁の上端に取り付けた笠木です。

こちらは2階の天井に設けた小屋裏エアコンの吹き出し口のひとつ。小屋裏エアコンとは、その名のとおり小屋裏に設置した1台のエアコン(普通の居室用のエアコン)で、2階全体を冷やしたり暖めたりする仕組みのこと。気密・断熱性能の高い家だからこそ採用可能な、エコで経済的なしくみです。

◎小金井市・T様邸(回遊動線の注文住宅)
会社の近くの竹林にやってきました。ここに来るということは、どういうことかわかりますでしょうか?そうです、新しい家づくりが始まるのです。

地鎮祭の準備の様子。竹林で刈り取ってきた竹を、テントの支柱に結び付けていきます。立派な竹ですが、とくに使いみちはなく、地鎮祭が終わると処分してしまいます。七夕の季節などは、近くの幼稚園などに寄付できたらいいなと思ったりもします。

地鎮祭の様子です。まずはご主人による鍬入れ(くわいれ)。

奥様による鍬入れ。

続いて、当社社長の小野寺による鋤入れ(すきいれ)。

お清めの塩をまく神主さん。

地鎮祭が終わると、いよいよ基礎工事に入ります。下の写真は、防湿シートを貼った後に捨てコンを打った状態。中央に積まれている白い板状のものは、基礎断熱用の断熱材(パフォームガード)です。基礎工事の様子は、次号で詳しくレポートしたいと思います。

◎調布市・深大寺そば八起(続・店舗リフォーム
店舗のリフォームは無事に終わったのですが、うっかり完成後の写真を撮り忘れてしまいました(汗)。近くなので、どこかのタイミングで撮影してこようと思います。
(続く)