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「ドキドキハラハラ。パッシブハウスの風量測定」と「名付けて、シン・大和塀」と「大きな書棚とビスケット」の巻/2024年10月号

Date:2024年10月31日 |

今月は、独創的で、個性的で、それゆえ難易度の高い造作工事のお話がいっぱいです。また三鷹パッシブハウス(予定)で実施した24時間換気システムの風量測定の様子もレポートしています。ぜひ読んでくださいね!

目次
1.三鷹市・S様邸(三鷹パッシブハウス(予定))
2.調布市・K様邸(スキップフロアと大きな土間のある家)
3.調布市・石野礦油様(航空機給油車用大型車庫)
4.練馬区・Y様邸(北欧テイストの2階建ての家)

 

◎三鷹市・S様邸(三鷹パッシブハウス(予定)

今回は、一般的な住宅ではまず実施することのない、パッシブハウスならではの、24時間換気システムの風量測定の様子からレポートを始めたいと思います。

S様邸には、熱交換型の24時間換気システムと全館冷暖房システムを合体させた、ゼンダーコンフォホームという機械が入っていて、下の写真のように、分厚い断熱材で覆われた極太のフレキダクトが本体から各部屋にくまなく配管されています。今回実施する風量測定というのは、このフレキダクト(特に接続箇所)から空気が漏れていないかどうか、専用の測定器を使って確認する作業になります。


 


 

ちなみに、万が一、空気が漏れていた場合は、すでに内装工事をやり終えた天井を剥がし、漏れている場所を特定し、配管のやり直しになります。風量測定を行うのは、認定機関であるパッシブハウスジャパンから派遣されてきた専門の業者さん。愛知県から遠路はるばるやってこられました。彼らの検査に手加減は一切ありません。なんどもチェックを繰り返しながら配管作業を行ったので、施工精度には相当の自信があるのですが、それでも、ドキドキハラハラしながら検査結果を待つこととなります。

というわけで、以下、風量測定の様子です。まずはゼンダーコンフォホームから屋外に「排気」される風量を測定します。


 

続いて、ゼンダーコンフォホームが屋外から家の中に吸い込む、「給気」の風量を測ります。


 

家の中に入り、各部屋の吐き出し口から出てくる(給気される)風量をひとつひとつ順番に測っていきます。各部屋に給気される風量を全部足して、その和(合計値)が、屋外から給気される風量とぴったり合えば、給気系統には空気漏れがないということになります。


 

続いて屋内の排気取り入れ口の風量を測ります。ここから吸い込まれた空気がゼンダーコンフォホームを経由して屋外に排出されます。排気系統もまた、屋内側と屋外側で風量がぴったり合うかどうかを調べます。


 

で、結果ですが、無事にすべての数値がぴったり合いました。ホッとひと安心です。

24時間換気システムの風量測定という、パッシブハウスづくりの最後の関門を無事に越えたS様邸。ここからは、完成に向けて、各所仕上げ工事を一気呵成に進めていきます。

屋外で進む木製のフェンスづくり。内側と外側の板を交互にずらして立てていく、大和塀(やまとべい)スタイルです。


 

交互にずらして立てることで、風通しがよくなり、木材も長持ちします。また、外からの視線を完全に遮断してしまわないので、このご時世、防犯的にも少し安心です。


 

一般的な大和塀の場合、板を垂直に立ち上げ、上辺の笠木(かさぎ)で固定しますが、S様邸の大和塀は、上辺に細長いアルミ製の枠を使用し、内側と外側の板をクリップで挟むようにして固定します。そのため、特徴的で個性的な見た目の、ゆるやかな曲線形状のフェンスに仕上がります。名付けて「シン・大和塀」です(正式名称ではなく、今書きながら思いつきで名付けました)。


 

照明器具の設置工事も進んでいます。下の写真は、階段の壁に取り付けたスポットライト。木ゴテ仕上げのザラザラした左官壁に光が当たることで、かすかな陰影が生まれます。雰囲気ありますね!


 

下の写真は、洗面台の鏡を開いた内側に作ったティッシュボックス入れです。ティッシュを下から引き出せるように、下側に穴を開けています。こういう小さな造作がS様邸には山ほどあります。


 

無垢の床に作った、床コンセント(フロアコンセント)。木のフタをぱかっと開けると、中にコンセントが収納されています。市販の回転式床コンセントも便利ですが、ちょっと表面が凸凹するので、小野寺工務店のお客様にはこの方式の方が人気です。


 

ソファ屋さんがやってきて、ソファの取り付けが始まりました。ソファの土台(木枠)を当社が作り、バネやウレタンの入ったソファ本体をソファ屋さんが作るという、分業制造作ソファです。部屋のサイズぴったりに収まる、ソファの座り心地バツグン、土台も含めて造作家具屋さんにオーダーするより安上がり、というメリットいっぱいの分業制造作ソファ。オススメです。


 

実は、この記事を書いている段階で、すでにS様邸は無事に完成しています。来月号では、完成写真をご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!

 

 

◎調布市・K様邸(スキップフロアと大きな土間のある家)

順調に工事が進む調布市のK様邸。今月は、独創性あふれる造作の数々ができあがっていく様子を紹介したいと思います。

下の写真は、中2階から2階へ上がる鉄製階段を設置しているところ。白いTシャツの男性は鉄骨屋さんです。この鉄製階段のささら、細いと思いませんか?通常、鉄製階段の場合、ささらは15センチぐらいの幅を取るのですが、今回はS様ご夫妻の設計(おふたりとも設計の仕事をされています)により、ささらの幅は8センチです。階段が短いから可能な細さなのですが、なかなか他では見ることのできない形状だと思います。


 

手すりのかたちも斬新。三角形のフレームを溶接で2点留めしています。これもS様ご夫妻の設計です。


 

踏み板のカタチも独特で、横から見ると、平行四辺形になっています(何かの拍子にむこうずねをぶつけると痛そうです)。こちらもS様ご夫妻の設計です。


 

鉄製階段のすぐ下の階段は、木製階段です。こちらは1階から中2階に上がる階段になります。一見シンプルに見える木製階段ですが、ナンノナンノ、この階段もなかなかの難工事だったりします。


 

どういった点が難工事なのかというと、3段目の踏み板がそのままズズっと右側に広がり、階段横の収納ボックス兼腰掛けの天板になっているのです。さらに4段目の踏み板も右側に少し張り出すカタチになっていて、ここにも腰掛けられるようになっています。複雑でややこしい構造の階段ですが、小さなこどもたちがここに座って本を読んだりするのでしょう。この程度の造作、どうってことありません。楽勝です。


 

先ほどから階段の後ろにチラチラと見えていた壁一面に広がる大型の書棚ですが、じつはこの書棚、見た目を重視して、釘やビスをほとんど使わずに組み立てています。下の写真の黄色い矢印の先を見てください。細い溝を入れているのがわかりますでしょうか。


 

これから積み上げていく棚の方にも溝を入れています。


 

この溝に楕円形のビスケットという木片を入れて、両方の接着面にボンドを塗ってから、積み上げていきます。ビスケットはブナ材を乾燥させて作っているので、ボンドの水分で膨張して、ガッチリきつく締まるという仕掛けになっています。


 

これがビスケットです。ネーミングの通り、お菓子のビスケットのようで、ちょっと美味しそうです。


 

続いてキッチンのお話です。下の写真の白い収納棚はIKEAのキッチン下用の収納ラックです。スライド式のワイヤーラック(黄色矢印)が使いやすくてお気に入りということで、今回は収納ラックだけIKEAのものを使用します。IKEAのキッチンを入れることはたまにあるのですが、今回はIKEAの収納ラックにあわせて、キッチン本体を造作するという、なんだかややこしいことになっています。


 

背面のカップボードも収納ラックのみIKEA製で、それに合わせて天板や扉を造作していきます。


 

造作工事のお話はもう少しだけ続きます。下の写真は鉄製の窓枠。たくさんある窓のひとつだけに、このちょっと風変わりなデザインの窓枠を設置します。


 

この窓枠、上下左右の枠の太さが違う、だまし絵の「ペンローズの階段」のようなカタチになっています。建物がすべてできあがって、道路から見上げた時にどういう風に見えるのか、作り手が思うのも変ですが、かなり楽しみです。


 

外壁の木張りも始まっています。S様邸の外壁は、焼杉、焼かない普通の杉、カラマツという3種類の木材を貼り分けて使います。いったいどんな仕上がりになるのかは、もう少し外壁工事が進む来月号にてご紹介したいと思います。


 

 

◎調布市・石野礦油様(航空機給油車用大型車庫)

社名の看板もできあがり、工事はすっかり終わっているのですが、最後に載せたいと思っている完成写真がなかなか撮れずにいます。滑走路の中に入って、滑走路越しに、できれば小型のセスナ機なども入れて撮影したいのですが、なかなか日程が合わないのです。


 

 

◎練馬区・Y様邸(北欧テイストの2階建ての家

順調に基礎工事が進んでいます。下の写真は敷き詰めた断熱材の上に配筋を組んだところです。


 

配筋が密になっているところは地中梁です。基礎をより頑丈にするためのもので、耐震等級3を実現するために必要な構造体です。


 

基礎配筋とその外側の断熱材を撮った写真。建物の基礎をすっぽりと断熱材で包み込む基礎下断熱は、寒さ知らずの快適な家を作るために、小野寺工務店がずっと以前から採用している、いつもの基礎の作り方です。


 

 

(続く)

 

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