「国分寺市S様邸の完成写真大公開!」と「K様邸で実施したコンクリートの圧縮強度試験とスランプコーン試験」の巻/2024年7月号
国分寺市のS様邸が完成しました。木製の縦格子から漏れるように射し込んでくる日差しがステキなお家です。また今月は、コンクリートの圧縮強度試験とスランプコーン試験を2カ所の現場で行いましたので、その様子も紹介いたします。
目次
1.国分寺市・S様邸(やさしい日差しが入る北側採光の家)
2.三鷹市・S様邸(三鷹パッシブハウス(予定))
3.調布市・K様邸(スキップフロアと大きな土間のある家)
4.調布市・石野礦油様(航空機給油車用大型車庫)
◎国分寺市・S様邸(やさしい日差しが入る北側採光の家)
S様邸が無事に完成いたしました。早速、完成写真を紹介していきたいと思います。
グレーの塗り壁が上品な印象のS様邸の外観(自分たちで作っておいて上品と書くのは少し変なかんじですが、事実なので許してください)。建物正面に設置した縦格子ですが、ちょうどの長さが既製品にはなくて、特注で作っています。
玄関エントランスです。土間がちょっと土で汚れていますが、このあとお引渡し前にきれいに拭き掃除を行いました。
玄関ホールです。玄関収納はタモ材で造作しています。玄関収納の壁裏は土間収納になっていて、アイアンバーを設置して、コート類を掛けたりできるようにしています。
ロフトに配置した木製の縦格子からやわらかな光が差し込む2階LDK。キッチン横の壁は、キッチンの奥からリビング全体を見通せるように室内ガラスを入れています。
ダイニングスペース。床は無垢のオーク材。壁は珪藻土で仕上げています。
ロフトの縦格子の向こうが南西になります。北道路で、すぐ横に隣家が迫る住宅密集地で、プライバシーの観点から南側に大きな窓が取れない…そういった立地でも工夫次第で明るい家を作ることは可能です。
別角度から撮影したLDK。
季節や時間帯によって、縦格子が作り出す光の模様も変わります。
リビングの床と同じ高さになるようにウッドデッキを作ったバルコニー。写真の奥で右に曲がるL字型バルコニーです。
2階の洗面脱衣室。ランドリールームと分けているのでスッキリ。
1階の大きな洋室。間に間仕切りを作って、主寝室と子ども部屋、子ども部屋と子ども部屋、ご夫婦それぞれの寝室という具合に、時々の家族構成にあわせてフレキシブルに使えるようにしています。
間仕切りを閉めてみました。
もう一枚、1階洋室の写真。窓の位置やサイズを工夫して、プライバシーを守りつつ採光を確保しています。
以上、S様邸の完成写真でした。「施工事例集」ではこちらで紹介した写真以外にもたくさんの写真を紹介しています。ぜひご覧ください。
◎三鷹市・S様邸(三鷹パッシブハウス(予定)
6月に行った付加断熱(外断熱)工事の様子からレポートを始めます。
下の写真はS様邸の現場に到着したEPSボード。EPSボードは南極の昭和基地にも採用されている強力な付加断熱用の断熱材です。
EPSボードに専用の接着剤(ベースコート)を塗る左官職人さん。
建物の下から上へ積み上げるようにEPSボードを貼っていきます。
寄木細工(よせぎざいく)のように、隙間なくEPSボードを貼っていきます。
屋根の下まで到達したら、工事完了です。このあと外壁工事が始まります。
かたや家の中ではさまざまな大工工事が進んでいます。下の写真は、造作中のご主人のワークデスク。
上の写真の黄色い丸部分を撮った写真。パソコンなどの電源ケーブルを通す穴です。ひとつ開けておくととても便利です。(最終的にもっとなめらかに仕上げます)
続いて緑の丸部分を撮った写真。ご主人からご要望のあったティッシュボックス用の穴を開けています。
キッチンの背面カウンターの造作も進んでいます。さて、ここでクイズです!天井に一本のミゾがあります(黄色の矢印)が、これはいったいなんのためのミゾだと思いますか?
じつはこれ、冷蔵庫と壁の間に収納できるように作る「引き出し式マグネットボード」用のミゾなのです。学校からの手紙や月間の予定表を貼っておいて、不要な時はそのまま隙間に隠せるので、とても便利だと思います。このあと、アイアンアレコという建材を使ってマグネットボード本体を作っていきます。
◎調布市・K様邸(スキップフロアと大きな土間のある家)
まずは6月に行った基礎工事の様子からレポートします。
下の写真は基礎の立ち上がり部分にコンクリートを流し込む基礎屋さんたち。仕事だから当たり前とはいえ、暑い中頑張ってくれています。
ひとりがコンクリートを流し込み、もうひとりが撹拌棒で混ぜながら、二人一組でコンクリートの打設(流し込み)は進行していきます。
下の写真は、コンクリートの打設と同じタイミングで実施したコンクリート圧縮強度試験とスランプコーン試験の様子です。これらの試験は、工事に使用するコンクリートの強度をチェックするための試験で、木造住宅で実施することは多くないのですが、今回はK様からのご要望で実施しています。
コンクリート圧縮強度試験(写真左側)は、基礎工事に使ったものと同じコンクリートを筒の中に流し込み、固まったのち(7日後と28日後)に、プレス機で上から押しつぶして、どれぐらいの圧力まで耐えられるかを調べます。
スランプコーン試験(写真右側)は、試験容器に入れたコンクリートを板の上にあけ、コンクリートがどれぐらい広がるかで、コンクリートの柔らかさ(水分量)を調べます。
セメント、砂、砂利、水をよく混ぜて、それを固めたものがコンクリートなのですが、この時水の量が多いと、コンクリートの強度が下がります。ところが水を多く入れると施工が楽なので、意図的に水を多く入れる悪い業者もなかにはあるのです。これらの試験はそういった不良工事を防ぐために実施されます。
数日後、K様邸の基礎ができあがりました(後日、コンクリート圧縮強度試験も無事にクリアしました)。
ここからは上棟時の写真をいくつか紹介します。K様邸は建物が大きく、しかも形状が複雑なので2日かけて上棟しました。
上棟1日目の様子。雲が夏の雲ですね。
上棟2日目の様子。屋根の下地材(野地板)まで貼り終えました。この野地板は先月号でレポートした、材木屋さんでK様ご夫婦が一枚一枚選定された野地板です。どれもきれいな野地板で、時間をかけて選ばれたかいがありました。
壁を作る前にクレーンを使って、「夢窓」という国産木製サッシを搬入しておきます。
◎調布市・石野礦油様(航空機給油車用大型車庫)
順調に基礎工事が進んでいます。
配筋工事が完了しました。タンクローリーを何台も停める大型の車庫なので、鉄筋の量も半端ないです。ある種の爽快感を覚えます。
コンクリートの打設が始まりました。
一般的な住宅の場合、コンクリートを流し込む人と撹拌棒で混ぜる人の二人一組で打設を行いつつ、もうひとりの職人さん(基礎の職人さんのこともあれば、左官屋さんのこともあります)がコテを使ってコンクリートの表面を均していくのですが、このサイズの建物の場合は、土間屋さんというコンクリートを均す専門の職人さんが参加して、野球のグラウンドを整備するトンボのような巨大なコテを使って、コンクリートの表面を均していきます。
数日後、底面に打ったコンクリートが固まり、立ち上がり部分の型枠の設置が始まりました。
ここでもコンクリート圧縮強度試験とスランプコーン試験を行いました。
(続く)