- DATA
- 敷地面積:174.42㎡(52.7坪)
延床面積:85.08㎡(25.7坪)
竣工年月:2010年8月
「寝転がりながら縁側越しに庭を眺めて、雨や風、季節の移り変わりを感じたい」。感性豊かな奥様のそんなひとことが、この家のコンセプトとなりました。
深い軒先に守られた長い縁側で、晴れた日はひなたぼっこ、雨の日は雨だれを眺めて過ごす情緒あふれる暮らし。玄関の坪庭、旅館の離れのような和室でお客様をおもてなし。古民家の建具専門店から調達したドアや裸電球、ガラスタイルの洗面鏡など、懐かしさを感じるレトロなインテリアに囲まれた安らぎの空間。毎日の暮らしの中に小さな感動が生まれる、そんな家ができました。
建築家からのコメント
外観からは想像できないほど、たくさんの見所がある家ですが、やはり一番のポイントは縁側です。家の中で雨の流れ落ちる様子を楽しんでいただくために、縁側の軒先に雨どいはつけませんでした。落ちた雨水が跳ね上がって壁を汚したり庭が水浸しにならないよう、綿密な排水設計で砂利敷きの工事を施しています。T様には最初のプランから「五感に響くデザインで、ひと目で気に入りました」とおっしゃっていただきました。
キューブデザインの近代的な外観。インターホンを設置した枕木の高さとT様の身長を揃えるなど、ちょっとした遊び心も忍ばせています
正面に坪庭のある和モダンな玄関。腰窓越しに奥の景色が広がり、開放的な空間を演出しています。土間の左側には大容量のシューズクロークを設け、いつでもすっきりお客様をお迎えできます
リビングから玄関側を望んだ、和の趣を感じる風景。右奥は和室の客間へ繋がります
旅館の“離れ”をイメージした和室の客間。他の部屋を介さず玄関から直接入れるので、プライバシーが保たれゆっくりとくつろいでいただけます
和室の障子を開けると目に入るのは、どこか懐かしい縁側のある風景
縦長のリビングと客間に面した、約25帖分もある広い庭。撮影時はまだ手を入れていない状態ですが、理想の庭が完成すれば、縁側からの風景もさらに楽しめそうです
最近の住宅ではとても珍しい濡縁。晴れの日はもちろん、深い軒先から流れる雨だれを眺めて過ごす雨の日も格別です
木の温もり溢れるレトロモダンなLDK。床はレトロテイストと合う、燻した無垢のバーチ材。梁と2階の床を現した天井は、熟練大工にしかできない匠の技。木のカットや化粧、配線など一般的な天井よりはるかに手間のかかるこだわりの仕上げです
吹き抜けから光が注ぎ込む、明るいダイニングスペース。吹き抜け部分を塞げば、2階にもう一部屋増設できる構造になっています
自然素材の中で異彩を放つ、ステンレスのオリジナルキッチン。背面には、キッチン用品をひとまとめに収納できる大型のパントリーを設けています
リビングから2階へ上がる階段。壁は帆立貝殻が原料のチャフオールの塗り壁を採用しています
2階の寝室。デザイン性のある壁で緩やかに仕切ることで、小さなスペースでも開放感を得ることができます
2階の廊下。スノコ状にして階下のダイニングまで光を届けます
ガラスのモザイクタイルをあしらった洗面鏡。その隣はアイロン台を内蔵した造作の家事コーナー。トイレには古民家の建具専門店から調達したドアを使っています